友情

雲一つない晴天の今日
私の大好きな人が結婚する
私の大好きな人と結婚する



最初に出会ったのは私
よくある飲み会の人数あわせで呼ばれた
正直相手がどんな人だろうと関係なくて
食べて飲んで帰ってやろうと思ってた

ありきたりな飲み会に適当に合わせていたら
彼が遅れて登場
こんなん言ったら笑われるかもしらんけど
彼を見た瞬間全てが止まった
音も空気も動きも
一目惚れってこーゆーんだと体で感じ取った
飲み会が終わるころにはすっかり彼と馴染んでいた

「二次会どうする?」
『カラオケ?ちょっと顔出してから帰ろうかな』
「ほな俺もそうしよ」
『わー真似っこや!!』
どうでもいい事でわいわいやっていた

二次会のカラオケは案の定
歌いたい人が勝手に歌い
喋りたい人は、聞こえにくい室内で声を張って喋っていた
さっきまで私の隣で楽しく喋ってた彼は
違う子の隣に座ってて、楽しそうにしている
聞き取りにくいのか体を密着させ、耳元で話しては二人は笑っていた
なんとなく見たくない姿
この空間がどうも苦手で
トイレに非難した

鏡に映る自分は少し酔ってホッペが赤い
そして、悲しそうな顔をしていた
あの空間に戻るのが憂鬱で
だけど荷物はあの部屋にあるから
嫌でも帰らないといけない

『なにやってんだか』

独り言を残し、トイレを出た
するとそこには彼が立っていた

「大丈夫?しんどい?」

さっきまで他の子と話してた彼が迎えに来てくれいて
心配そうに顔を覗きこんで背中をさすってくれた
この時には完全に彼に堕ちていた

その後もメールや電話で仲良くなっていった
「好き」とか「付き合おう」って直接言われた訳じゃない
だけどお互い好きなんだと思ってた
少なくとも私は。

「友達が彼女欲しいゆうてるヤツおんねんけど、誰かいてへん?」
『あー可愛い子がおる!!』
「なら今度4人で遊ぼ」

引き合わせてしまったのは私
誰のせいでもない

4人で遊んだ帰り道
友達は言った
「私あの人の事好きになった」と。

大事な友達が好きなったのは
私の大好きな人でした

『私も好き』だなんて言えなくて
こーゆーのは先に言ったもん勝ちなんだなーとぼんやり思った

それから彼にメールする事も電話する事もやめた
自分の気持ちを偽り、友達を応援した
でも、心のどこかで【別れてくれたら・・・】って思った

そんな悪い子を神様が許すはずなんてないんだ
二人は今日結婚する

緊張した面持ちでバージンロードを歩く彼は
凛々しくて今までで一番かっこよかった
チラッとこっちを見た気がした
切なげな顔で
嬉しそうにバージンロードを歩く彼女は
幸せが滲み出てて一番キレイだった

親族の写真撮影の間、ロビーで待ってると彼の友達に声をかけられた
「アイツのこと好きやったんちゃう?」
『んーそりゃ好きよ?でもそれは友達としてな』
「・・・そっか。アイツは本気であんたに惚れとったけどな」
私だけの勘違いやなかったんや
「あんたと連絡取れんくなって、相当ショック受けてたし」
連絡とったら、私の気持ちが揺らぐから。
「あんたの友達やからいい子やろしって。あんたが彼女を選ぶのを望むならって付き合いだしてん」
そんな理由
「全部基準があんたやねん。おかしいやろ?」
『・・・・』
「今は本気で好きやから、結婚まできたけど。きっかけは全部あんたが作ってんで?」
分かってるよ、二人を引き合わしたのも私やもん。
でも私が選んだのは友情

 

しばらくして仕事帰りに買い物をしていると彼に会った
お互い買い物袋を片手に、駐車場まで一緒に歩く
「もう時効やから言うけど、俺お前のことめっちゃ好きやった」
『もう時効なら私もゆうけど、めっちゃ好きやったよ?』
「ほな、なんであの時」
『先に言われてん。あんたを好きになったってあの子に』
「それな、あいつ知っててん」
『ン?』
「お前が俺に惚れてるの知ってて、あいつはゆうたんて。
『私も』ってゆうてくれるんかと思ったら『頑張って』ってめっちゃ笑顔でゆわれて、
ごっつ腹立ったらしい。こんなヤツに負けるか!って(笑)」
『あの子らしいな(笑)』
穏やかな時間だった

「ほな!また近いうちに遊びに来ぃや?」
あの頃と変わらない笑顔で手を振ってくる
あの頃より少し大人になった私も手を振る

ばいばい、大好きやったよ。

 

 

 

 

友達の結婚式でうっかり妄想で出来ました

結婚式に行くといいなーって思います

結婚はしたくないけど結婚式はしてみたい(矛盾)

そういえば最初の方の文章

山下さんのドラマCMで似たような事を言っててビックリした