夜雨

雨が傘に当たる音が響く
忘れた頃に通る車が水たまりをはねて通り過ぎる
二人は並んで歩いている
1本の傘を硬く握り締めてる彼の手
寒くて赤くなっていた


傘を持つふりをしてその手に触れたくてしかたない手
上げかけたけどやっぱりポケットに戻す


私が濡れないようにと傾けてくれている傘から落ちる雫は
彼の肩をどんどん濡らしてて
「濡れちゃうよ?」って言いたいんだけど
たまに通り過ぎる車のライトに照らされる彼の顔は
真っ直ぐ前を見つめたままで声をかけそびれる


この傘がビニール傘じゃなかったら
もう一度会えるのに…
目的地がもっと遠かったら
もう少し一緒にいれるのに…




随分長いこと拍手にあったお話
基本雨の日でもどしゃぶりじゃない限り傘をささない∞N∞さんですが
久々傘をさしたときに思いついたお話です
ビニール傘って小さいから一人でも濡れるんですよね…
え?私だけなのかな?
傘の使い方が下手なんだろうか…