last resort

「もぉ会えへん」


俺の情けないほど小さい声


『・・・そっか』


君の表情は一瞬曇るも、すぐにぎこちない仕草で微笑む


夕暮れの公園
周りには仲の良さそうなカップルや、家族連れが楽しそうにしている
並んで歩いている俺達の間には妙な距離があって
それが今の気持ちそのままだった


ずっと友達やった
みんなと遊ぶ時も、いっつも俺の横におって笑っとった
俺が仕事で行き詰ってる時も
前の彼女とうまい事いってへん時も
ずっと俺の横におって
文句も言わんと愚痴を全部聞いてくれて
最後には必ず励ましてくれとった

 

 

あの日も俺は君に愚痴っとった

俺の仕事が忙しぃなって、なかなか会えへんようになって
ついに彼女から別れを告げられた

彼女は新しい男んとこへ行った

こんなにも好きやと思っとったんは、俺だけやったんやと思い知らされた

荒れとる俺を見て


『そんな姿もぉ見とれん・・・』


俺が振られてんのに、君が傷ついとる顔をしとった


「ならお前が、どーにかしてや」


冗談のつもりやった
俺のそんな言葉になんか靡く女やないと思っとった


『えぇよ』


予想外の返事にビックリして君の顔を見る
その表情から冗談やないことも分かった


「せやけど俺まだ・・・」


『うん。分かってる。代わりでいい。それでいいから…』

 

あの時君の気持ちを分かってて
それでも俺は君の言葉に甘えた

君の気持ちよりも
自分の寂しさを埋める事を優先した

自分の事しか考えてなかった
先の事なんて頭になかった

 

 

 


『最初から分かってた事だから、気にすることないよ』


作り笑いで俺に言った後、俯いて


『ラッキーだったな』


場違いなセリフで無理にはしゃいで見せるから愛しくなる

君を[好きになれればいいのに]と、ずっと思ってた
けど、俺の中には純粋に消えへん思いがあった

奇麗な言葉や愛される事ばっかり欲しがって
君をひたすら傷つけてく
いくら抱き合っても気持ちが繋がる事はなくて
そのたびにボロボロ絆は壊れていった

 

 

 

もうすぐ道が途切れる
その手前で立ち止まる


「ごめん」


その一言しかない
相変わらず俺の声は小さくて情けない


『あなただけ悪くはないよ』


赦す様に言わんでくれ
弱い俺は失くすのを悔やみかける

君の気持ちが痛いほど伝わる
それでも振り切って歩いてく
多分今ならまだ戻れる気がする
だけどそれだけじゃ、また同じことの繰り返しや

一人の君に還すよ

 

ByT.M.R

 

 

 

 

 

拍手より移動。

元の歌がありましてね、歌詞を検索していただいたらマンマなのがマルワカリだと思います

だーって書きたかったんだもん(言い訳)