心変わり

生まれて初めてチョコを作った

「あんた!誰にチョコあげんの?なぁなぁ!どんな子なん?」

おかんに冷やかされながら。


今一番肝心なとこやから!!話かけんといて!!

心の中でそう思いながら、手元に集中

『やっと出来た!!』

半日かかっての力作

渡す時に目立たないように、小さな箱に入れてラッピングした

それを満足気に見ていると

「うまいこといったら、家に連れて来ぃな?」

おかんがニコッと笑って言った

なんだか勇気をもらった

 

緊張していつもより早く目が覚めた

落ち着かなくて、いつもより早く家を出た

勝負は今日の放課後

勝負は今日の放課後

心の中で何度も繰り返した

 

靴箱に行くとそこに彼が立っていた

『うわっ!』

予想外の展開に思わず声が出てしまった

「うわって(笑)おはようさん!今日は早いんやね」

ニコッと笑ってこちらを見つめている

『う、うん。早く目が覚めたから。今日も朝練?』

「もうすぐ大会やし」

言いながら靴に履き替えていた

彼の左手にはキレイにラッピングされた箱が3つ

『え!もうチョコもらったん?』

「うん。甘いもん大好きやーゆうてたらもらえてん」

『いや、それは違うと思うんだけど・・・』

「ん?まぁコレを彼女が見たらいい気はせぇへんよな」

靴のつま先をトントンしながら、グランドに向かおうとしている

「ほな、また教室でな!」

彼は颯爽と去っていった

 

彼女って単語が、おかんからもらった勇気を侵食していった

教室には行かず、屋上に向かった

この寒い時期に他に人なんていなくて

冷たい風が現実をよりリアルにさせた

少し高くなってる場所に上がり、寝転がりそのまま目を閉じた

 

「こんなトコおったんや」

聞きなれた声、あえて聞こえないフリをする

「お前チョコ渡すんちゃうんか?」

『もぉいい』

「なにがや?」

『彼女おんねんて』

「聞いたんか?」

『うん。朝ちょうど会った時に言ってた』

「ほうか」

それ以上は何も聞かず、同じ様に隣に寝転がっていた

『告白する前にふられるのもキツイな』

自分が発した言葉なのに、自分が傷ついていた

「好きになったもんはしゃーないやろ」

ちょっとため息混じりに言われる

そりゃそうなんだけど。

あー目を瞑ってたら眠くなってきた

「まぁ手っ取り早く忘れる方法ゆうたら」

『え!そんなんあんの?』

思わず起き上がって隣を見る

「次の恋をしたらえぇだけや」

『そんなすぐ無理』

起き上がって損した!

もうこのまま寝ようかな・・・

「なぁ」

少し寝かかってるところに話しかけられる

『ん?』

「俺に心変わりせぇへん?」

 

 

 

 

 

 

 

バレンタインでしたねって事で勝手にこっそり書いてみました

中途半端な終わり方なのは、先が思いつかなかったから(笑)

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