もう少し早く もう少し遅く
久しぶりに会えたのに、別れの時間はあっという間にやってくる
タイムリミットが迫ってくると、どうしても口数か減ってしまう
今度会えるのはいつだろう?
約束なんて出来ないから、余計不安になる
次はあるのかな?
いつ終わってもおかしくない関係
不安すぎて泣きそうになる
「そんな顔せんとって?」
隣を見ると彼は遠くを見つめていた
「そんな顔されたら、帰れんやん」
なら、帰らなきゃいい
あの人の待つ家になんて、帰らなきゃいいのに
彼の薬指に光る指輪を見つめながら思った
「もっと早くお前に出会ったらよかった」
そう言いながら、指輪の光る手で私の頬に触れる
「それか、もっと後で出会ってたら何か変わってるかもしらん」
そういいながら、もう片方の手も頬に触れる
目の前に彼の顔があって
お互い視線を外さない
それは違うよ
もっと早く出会ってたら、あなたを見つけられない
もっと遅く出会ってたら、あなたに惹かれない
全てが重なって『今』があるのに
だけど口には出さず、そっと眼を閉じる
『今』を感じる為に、それは言わない