不器用ゆえに

「ちょっと行ってくる!」


こんな夜中に家の鍵と財布を持って
携帯をズボンのポケットに押し込みながら玄関に向かっている彼女
この子はいきなり何を言い出すんやろか?



『行くってどこに?』


視線をTVから玄関へ向けた


「コンビニ」
『このテレビ終わってから一緒に行こ?』
「いいよ、一人で行ってくる」
『あかんよ、こんな時間に危ない』
「大丈夫!すぐそこだし。テレビ見てて」


そう言いながらスニーカーを履く音がした
僕は急いで財布を掴みジャケットを羽織ながら玄関に向かった

 

 

コンビニの帰り道


『何買うたん?』
「ん?お菓子」


言いながら袋を広げて見せてくる
新作のお菓子がつまっていた


「さむーっ」


少し震えて腕をさすっている彼女にさっきのコンビニで買った肉まんを渡す


「わー!ありがとう!1つは多いからはんぶんこしよ?」


相変わらずはんぶんこが好きな彼女
嬉しそうに半分にした肉まんからは湯気が出ていた

 

「肉まん見ると冬が来たなーって思うんよね」


ニコニコしながら半分になった肉まんを口に持ってきた


『あっつ!あついって!!』


それを見て爆笑している彼女

本当は知ってるよ?
TVばっかり見てかまってもらえなかったのが嫌やったんやろ?
ちょっと不安になったんやろ?
でもそれが言えんから、急に「コンビニ行く」とか言い出したんやろ?

そんな試すような事せんでもえぇのに
不安なら聞けばいいのに
不器用というか、なんと言うか(笑)


「ありがとうね」


そのありがとうの意味も分かってるよ?
あえて言わんけどな
君は気づいてへんのやろなー
こんなにも惚れてることに
これもあえて言わんけどな


『また肉まん食べよな』
「今度は角煮まんがいいなー」


不安になったらまた一緒にコンビニ行こな

 

 

 

 

 

 

 

きゅん♡

人肌恋しい季節のなりましたね!

新作の肉まんをはんぶんこする相手はここんとこずっと相方です(;∀;)

そして毎回二人して

「どっちかが男だったらさっさと結婚しとるよな」

という話になります

ツボが似てるからね!

二人で出かけると必ずデートで来たら盛り上がるだろうね!的な場所に勝手にたどり着きます

そこで毎度妄想を暴走させ

「・・・寂しいね」

と現実に戻って家路につくのです

切ねぇなー(笑)